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自然の中の学舎



 日生学園の三つの高校は共に、美しい自然の中に校舎と寮があります。都会の喧騒から離れてみると、都会で生活しているというそのことだけで、人間は多くのストレスを受けていることが分かります。多くの場合はそのことに慣れっこになってしまっているので気づきません。しかし、都会が人の心も身体も蝕んでいるのは確実です。車が走り回っているのは当然のこと。騒音も排気ガスも当たり前のものでしょう。しかし、それらが徐々に健康を侵していっているのです。今、都市に住む人々に多くの精神傷害が生まれてきています。病院を訪れる人の多くが、心因性だと言われます。なるほど都会に住まなければ活動できない現代です。しかし、せめて身体と心を育て上げる最も大切な時期だけは、そうした都会を離れて自然の中で暮らさせたい。都会の中で揉みくちゃにされた心身を自然の中で蘇らせて欲しいとの願いから、日生学園はこうした自然の中に学舎を建てました。
 耳を澄ませると、あちらこちらから鳥の声が聞こえてきます。木の葉を揺らす風が体感できます。野うさぎやリスが駆け回っています。第二高校では悠然と草を食べている鹿の姿も見ることができます。花がなくとも緑だけで日本は美しいと言いますが、まさにこの言葉を実感できます。春から夏にかけて、見事に緑が変化していきます。同じ種類の木でも一本も同じ色の葉をしていないことが分かります。そんな緑が心を安らげてくれるのです。
 夏の太陽は燦々と輝きます。太陽が沈むと、急に気温が下がってきます。ヒート・アイランド等の現象はここにはありません。しかし、冬の寒さは厳しいものです。それが自然です。だからこそ逞しい心身が育つのです。
 付近に民家がありません。これを一番享受しているのがブラスバンド部です。朝早くから思い切って音を遠くに飛ばすことができるのです。早朝、学校に着くともう多くの生徒がジョギングをしています。爽快な朝の空気を一杯吸いながら山道を走っています。中学時代迄喘息で苦しんでいた子が、綺麗な空気と朝のジョギングでいつの間にか発作が出なくなったと喜んでいます。
 自然の中に思いきり広い校地、それを運動クラブは、ぜいたくに使ってスポーツに打ち込んでいます。都会のあのせせこましい中で活動しているのとはスケールが違うのです。
 都会という科学技術によって支えられた中で生活していると、何もかも与えられることが当たり前になってしまいます。自分の力で歩くことさえ忘れ去られてしまいます。そして様々なストレス、子どもの心を乱す様々な刺激、これらが重なり合って、現代のあの子どもの姿を生み出したのではないでしょうか。丁度高校の時代は教育学では疾風怒濤の時代と表現しています。最も感受性が豊かであり、自我確立の過程でもっとも大きく変わる時代なのです。この時代にどんな生活をするかで人生が決まってしまうと言っても過言でない時代です。だからこそ日生学園は自然の中で暮らすことを選択したのです。
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