日生学園教育レポート -競争が個性を育てる-

2、競争が個性を育てる

(3)競う中から自分が見える
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 何とかして勝利を手に入れよう、何としても目標まで行こうと思って、努力し工夫しても、簡単に勝てないのが人生です。勉強であの子に勝ちたいと思ってやっていても数学だけはどうしても負ける。そうするとだんだん数学が嫌いになってくる。結局、僕は理系ではあの子に負けるとあきらめてしまうのが弱い人間の常です。数学で勝てなければ、結局あの子に負けることになる。やり方が何処かおかしいから成績が伸びないのだ。よしもう一度基礎からやり直してみよう。基本に戻ると問題も簡単に解ける。少しずつ難易度を高めてやっている内に、やればできるとの自信が付いてくる。とうとうあの子に勝った。僕は理系のほうが得意なのかもしれない。
 逃げないで競い合うこととは、結局は、自分に戻ることなのです。昔から言われているように「敵に勝つとは己に克つ」ことを意味します。これなくしては、ライバルに勝つことなどありえません。更に、「自分に克つとは、今まで自分のなかにあると気づかなかった新しい自分を発見し作りだすこと」を意味しているのです。
 「こんなことで負けたらどうするのか。今ここで逃げたら今までなにをやってきたか分からない。自分のやってきたこと全てが無駄になる」と、自分を励ましながら、睡魔と戦いながら勉強に励んでいる中から、今までにない自分の力が出てくるのです。「今日は休みたいな。でも今日練習しないと。」と思って練習に励んでいる内に、逞しい筋力が身についてくるのです。そんなことは誰でも分かっています。しかし、競争がなかったら、ライバルがいなかったら、そこを越えることは難しいのです。
 しかもそこを越えることによって初めて自分の本当の力が発揮できるし、そのことによって自分という人間の持つ力、自分という人間そのものが見えてくるのです。
 つまり競争するとは自己発見のためのものなのです。
 「他と競い合うことは、他を蹴落とすことであり、そんなことは教育の場では認められない」と仰る方も多いのが現状です。しかしそれは大きな間違いなのです。そう言われる方は、本当の競争を経験されたことのない方なのです。日生学園第二高校の卓球部には好敵手がいます。津工業高校のM君です。優勝戦で常に立ちふさがるのが彼です。卓球部の選手の日誌には度々彼の名前が登場します。どうでも彼に勝ちたいと思っています。そうした卓球部の諸君にとっての最大の敵はと言えば自分です。ラケットの中心にボールを当てるのも、回転を高めるのも、全て自分の技量によります。負けはじめた時に、自分を励ますのも自分です。彼に勝ちたいと思って練習していると、分かってきます。敵は相手ではない、自分なんだ、戦うべき相手は弱気を出す自分なんだと気づくのです。どうやって自分を励ますか、どうやって自分にしか打てない球を打つのか、これが問題になってくるのです。
 本当の競争の中に身を置けば、敵は自分であることが分かるものです。そして、その中からのみ本当の自分を作っていくことができることも。
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