子供を幸せにせぬ親(2)
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 子供の幸せを願わない親のもう一つのタイプは、「そうすることが、それを選択することが、不幸への道である」と分かっているのに、子供にその生き方を選ばせてしまう親です。こうした親が本当に多くなりました。そうでない親御さんを探す方が難しいくらいです。
 この事例は数えられないくらいあります。まずは甘やかすところから始まります。日生学園第一高校には中学が併設されていますが、こちらの方は通学生がいます。近くの駅からスクールバスを出して送迎しているのですが、毎朝何名かの親御さんが自家用車で子供を送って来られます。多分朝起きそびれて、電車に間に合わずに送ってこられたのでしょう。三重県内の他の6年制の中学の先生にお聞きしても、そうした傾向が強まっているようです。「雨の日は自家用車が数珠つなぎになる」と言って笑われている先生もいらっしゃいます。一昔前では考えられなかった姿です。塾が終わる時間になると、塾周辺の道路が自家用車で一杯になります。小学生の時から送り迎えが当たり前になってしまったのでしょう。
 こんな風に育てていたのでは、独立自尊の人間など育つわけがありません。「そうは言っても、遅刻させたのでは」とか「勉強する時間が欲しいから」という反論がお母さんから出てきそうです。そうして「勉強」以外の労力の肩代わりを全て親がしてやっていて、一体どんな人間が育っていくのでしょうか。今年、三重大学と慶応大学の医学部で相次いでセクハラ問題が起こり、多くの生徒が退学に追い込まれました。お坊っちゃまで育てていて社会人となった時に大丈夫なのでしょうか。
 先日、大阪経済大学の理事長井阪氏とお話する機会がありました。氏は野村證券の副社長や東京証券取引所の副理事長を歴任された方ですが、野村證券では、毎年数百名の有名大学卒業生を採用されるそうですが、「入社後間もなくして取引先回りをさせると、多数の社員がそれだけで退職してしまう」と嘆かれていました。
 やれお勉強、お受験と言って、甘やかした生き方をさせていると、社会で通用しない人間になってしまうのです。「有名大学に進み、一部上場の企業に入って、そして直ぐに退職」。これが子供の幸せを考えた子育てなのでしょうか。
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